全国展開・多店舗展開企業が知っておくべき屋外広告物条例の基礎・リスク
自治体ごとに何が違う?看板設置前に確認すべきポイントを行政書士が解説
全国で店舗展開を行う企業にとって、店舗のブランドイメージを統一することは非常に重要です。
しかし、同じデザイン・同じサイズの看板であっても、ある自治体では設置できるのに、別の自治体では許可が下りないというケースは少なくありません。
その理由は、屋外広告物法に基づき、各自治体が独自に屋外広告物条例を定めているためです。屋外広告物法は全国共通の基本ルールを定めていますが、実際の規制内容や許可基準は、都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体などが条例で定めています。
そのため、多店舗展開企業では「前回と同じ仕様だから大丈夫」という考え方は通用しません。
本記事では、全国展開する企業の店舗開発担当者、施設管理担当者、広告代理店、看板業者の皆様に向けて、屋外広告物条例で特に注意すべきポイントを解説します。
▶ 関連記事:この看板は許可が必要?不要?屋外広告物許可が必要な広告物一覧|看板設置前セルフ診断付き
屋外広告物条例とは?
屋外広告物条例とは、屋外広告物法に基づいて各自治体が制定する条例です。
屋外広告物法の目的は次の2つです。
・ 良好な景観の形成・風致の維持
・ 公衆への危害防止
この法律に基づき、自治体は地域の特性に応じて、
・ 許可が必要な広告物
・ 禁止される地域
・ 広告物の大きさ
・ 色彩やデザイン
・ 安全管理
などを条例で定めています。
なぜ自治体ごとにルールが違うのか?
例えば、
・ 観光地
・ 商業地域
・ 住宅地
・ 歴史的街並み
・ 自然公園周辺
では求められる景観が異なります。
そのため、京都市と東京都、札幌市と那覇市では規制内容も大きく異なります。
全国で店舗展開している企業ほど、「自治体ごとの条例を確認する」という作業が重要になります。
自治体ごとに異なるポイント①
許可が必要となる基準
「小さい看板だから許可はいらない。」この判断は非常に危険です。
自治体によって
・ 面積基準
・ 高さ
・ 設置場所
・ 自家用広告物の扱い
などが異なります。
ある自治体では許可不要でも、別の自治体では許可が必要になることがあります。
よくある失敗
全国チェーン店が「前回の店舗と同じ仕様」で看板を製作したところ、設置自治体では許可基準を満たしておらず、デザイン変更になったケースがあります。
自治体ごとに異なるポイント②
禁止地域・禁止物件
条例では、広告物を設置できない地域が指定されている場合があります。
例えば、
・ 景観地区
・ 風致地区
・ 歴史的建造物周辺
・ 公園
・ 文化財周辺
などです。
また、橋梁、街路樹、信号機、ガードレールなどへ広告物を設置することを禁止している場合もあります。

店舗が商業地域にあっても、道路を挟んで景観規制区域となっている場合があります。
自治体ごとに異なるポイント③
色彩・デザインの規制
景観重点地区では、看板の色まで規制されることがあります。
例えば、
・ 原色禁止
・ 蛍光色禁止
・ 高彩度色の制限
・ コーポレートカラーの使用制限
などです。
ブランドカラーをそのまま使用できないケースもありますそのため、全国共通デザインでは対応できないことがあります。
自治体ごとに異なるポイント④
看板のサイズ・高さ
条例では、面積・高さ・突出幅・照明などの許可基準を定めることができるとされています。
そのため、自治体によって
・ 高さ
・ 表示面積
・ 突出幅
・ 袖看板の大きさ
などの基準が異なります。
例えば、同じ袖看板でも東京都では設置可能でも、別の自治体では突出幅が基準を超えてしまうというケースがあります。
自治体ごとに異なるポイント⑤
照明・LED・デジタルサイネージ
近年増えているLED看板、デジタルサイネージ、プロジェクションマッピングについても、自治体によって取扱いが異なります。
例えば、
・ 点滅速度
・ 明るさ
・ 動画広告
・ 表示時間
などが規制されている場合があります。
自治体ごとに異なるポイント⑥
更新期間
屋外広告物の許可は永久に有効ではありません。多くの自治体では、2年、3年など更新期間が設定されています。
全国展開企業では、店舗数が増えるほど更新管理が大きな課題になります。
多店舗展開企業で実際によくある課題
当事務所へご相談いただく企業様からは、次のようなお悩みをよく伺います。
・ 店舗ごとに条例を調べる時間がない
・ オープンスケジュールが短い
・ 行政とのやり取りに慣れていない
・ 看板業者との役割分担が分からない
・ 更新期限を管理できていない
店舗数が10店舗、50店舗、100店舗と増えるほど、担当者の負担は大きくなります。
多店舗展開企業様には全国の店舗・施設の屋外広告物を一元管理し、許可申請から更新管理、条例調査までワンストップでサポートする、全国屋外広告物管理サポートサービスをご提案いたします。
全国展開企業が行うべき5つの対策
① 出店計画と同時に条例調査を開始する
設計後ではなく、物件が決まった段階で調査することが重要です。
▶ 関連記事:屋外広告物条例調査とは?看板設置前に確認すべきポイントを行政書士が徹底解説
② 行政への事前相談を行う
判断が難しい案件では、行政へ事前照会を行うことで設計変更リスクを減らせます。
▶ 関連記事:行政への事前相談(事前照会)はなぜ重要?許可が下りる・下りないを左右するポイントを行政書士が解説
③ 更新期限を一元管理する
店舗ごとに、更新時期、許可番号、自治体を一覧管理することをおすすめします。
④ 看板業者と行政書士を連携させる
看板業者は、設計・施工
行政書士は、条例調査、許可申請、行政対応
という役割分担を行うことで、スムーズに業務を進めることができます。
⑤ 全国対応できる行政書士へ依頼する
自治体ごとに条例を調査し、必要な許可や届出を判断できる専門家へ依頼することで、企業担当者の負担を大幅に軽減できます。
全国の店舗における屋外広告物の許可申請や行政手続きを、行政書士へまとめて依頼したい企業様は、こちらをご覧ください。
▶ チェーン企業・多店舗展開企業向け|全国の店舗看板に関する屋外広告物許可申請を行政書士がサポート
行政書士・福井法務事務所ができること
当事務所では、全国の企業・店舗・看板業者様向けに、屋外広告物に関する各種手続きをサポートしています。
対応業務
・ 屋外広告物条例・景観条例の調査
・ 設置可否の事前診断
・ 行政への事前照会
・ 屋外広告物許可申請
・ 変更許可申請
・ 更新申請
・ 除却届
・ 屋外広告業登録・更新・変更届
・ 複数店舗・全国展開企業の申請管理
店舗展開のスピードを落とすことなく、適法な看板設置を実現できるようサポートいたします。
よくある質問
Q. 全国どこの自治体でも対応できますか?
はい。全国の自治体の屋外広告物条例や景観条例を調査し、それぞれの運用に合わせた申請をサポートしています。
Q. 店舗ごとにデザインを変更しなければなりませんか?
地域によっては、色彩やサイズなどの規制により、デザインの一部を変更する必要がある場合があります。
Q. 看板業者が決まっていますが相談できますか?
もちろん可能です。看板業者様と連携し、条例調査や行政手続きを当事務所が担当することで、円滑なプロジェクト進行を支援します。
まとめ
全国で店舗展開する企業にとって、屋外広告物条例は「一度覚えれば終わり」の制度ではありません。
同じ看板であっても、自治体ごとに許可基準や禁止地域、色彩、サイズ、更新期間などが異なるため、出店のたびに条例を確認することが不可欠です。屋外広告物法は全国共通の枠組みを示しつつ、具体的な運用は各自治体の条例に委ねられています。
店舗開発のスピードとコンプライアンスを両立させるためには、設計・施工は看板業者、条例調査や許可申請は行政書士という役割分担が有効です。
行政書士・福井法務事務所では、全国対応で屋外広告物条例の調査から許可申請、更新・変更手続きまで一貫してサポートしています。新規出店や店舗リニューアルをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
