看板業者ではできない行政書士の独占業務とは?屋外広告物申請で知っておきたい役割分担を解説【令和8年行政書士法改正対応】
看板業者ではできない行政書士の独占業務とは?屋外広告物申請で知っておきたい役割分担
店舗や商業施設に看板を設置する際、「看板業者が申請まで対応してくれる」と考えている方も少なくありません。
しかし、屋外広告物許可申請や屋外広告業登録など、官公署へ提出する書類の作成や申請代理には、行政書士法によるルールがあります。
令和8年1月1日に施行された行政書士法改正では、行政書士または行政書士法人でない者が、報酬を得て官公署へ提出する書類を作成することについて、法律で認められた場合を除き禁止されることがより明確になりました。
この記事では、看板業者と行政書士それぞれの役割や、企業が安心して屋外広告物申請を進めるためのポイントを解説します。
行政書士の独占業務とは
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者です。
主な業務には、
①「官公署に提出する書類」の作成とその代理、相談業務
代表的な独占業務です。
例
・ 建設業許可申請
・ 古物商許可申請
・ 宅建業免許申請
・ 産業廃棄物収集運搬業許可申請
・ 飲食店営業許可申請
・ 在留資格(ビザ)申請の取次(申請取次行政書士)
・ 屋外広告物許可申請
・ 各種認可・届出
※本人が自分で申請することは可能ですが、他人の依頼を受け、報酬を得て作成・代理することは行政書士の独占業務です。
② 「権利義務に関する書類」の作成とその代理、相談業務
契約や権利関係を明確にする書類を作成します。
例
・ 売買契約書
・ 業務委託契約書
・ 秘密保持契約書(NDA)
・ 示談書
・ 内容証明郵便
・ 遺産分割協議書
・ 遺言書(作成支援)
・ 離婚協議書
※訴訟や法律相談は弁護士の業務です。
③ 「事実証明に関する書類」の作成とその代理、相談業務
事実を証明・整理する書類を作成します。
例
・ 議事録
・ 会計記帳
・ 各種図面
・ 実地調査報告書
・ 会社の業務記録
・ 各種証明資料
などが代表的な業務です。
屋外広告物に関する手続きでは、
・ 屋外広告物許可申請
・ 変更許可申請
・ 更新申請
・ 除却届
・ 屋外広告業登録
・ 屋外広告業登録更新
・ 各種変更届
などの業務も行政書士の独占業務となります。
※行政書士ではない者が上記の独占業務を行うことは行政書士法違反となり、罰則が科せられる可能性があります。
令和8年行政書士法改正で何が変わったのか
行政書士法改正の概要
令和8年1月1日に施行された行政書士法改正内容は以下の5つです。
① 使命の明確化
② 職責の新設・デジタル対応
③ 特定行政書士の業務範囲の拡大
④ 業務制限規定の明確化
⑤ 両罰規定の強化
この中でも、特に事業者に関わる④と⑤について詳しく解説していきます。
業務制限規定の明確化
行政書士または行政書士法人でない者は、他人から依頼を受け、報酬を得て官公署へ提出する書類を作成することについて、法律で認められた場合を除き禁止されることがより明確になりました。
この改正は、行政手続きの適正化と利用者保護を目的としています。
例えば、行政書士以外の者が「手数料」「会費」「コンサルタント料」という報酬を受け取っていた場合、報酬の名目が書類作成業務ではなかったとしても実質的に行政書士の独占業務を行い報酬を得ていた場合は行政書士法違反となります。
つまり、書類作成料を無償としていても、別の名目で料金を受け取っていれば行政書士法違反に該当するというものです。
この取り扱いは新設されたものではなく、当初から違法とされていた行為が改めて法律に明記されました。
例えば建設業者の中には電気工事業を営んでいる方がいると思いますが、高圧変電設備や蓄電池設備等を設置する際の消防署への届出は行政書士の業務です。
したがって、電気設備の所有者や管理者に代わって電気工事業者が電気設備設置の届出書類を作成し提出することは行政書士法違反となります。
つまり、
「書類を作るだけだから問題ない」
「申請だけだから大丈夫」
という認識ではなく、適法な体制で行政手続きを行うことが求められます。
今回の改正を機に、行政書士の独占業務を自社で取り扱ってしまっていな以下改めて確認が必要です。
両罰規定の強化
行政書士法第23条の3に、行政書士又は行政書士法人でない者による法第19条第1項の業務の制限違反に対する罰則が追加されました。
第二十三条の三
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十一条の二、第二十二条の四、第二十三条第二項又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
これにより行政書士法に違反した行為者が罰せられることはもちろん、その者が所属する法人に対しても100万円以下の罰金刑が科せられることとなりました。
違法行為を行なった個人だけでなく、法人にも罰則が科せられるようになったことで、違法に行政書士業務を取り扱っている法人の責任が大きく問われるようになっています。
そのため、自社の取扱業務に関して、個人単位だけではなく会社全体で見直しと適正化を図ることが重要です。
看板業者が担う役割
看板業者は、広告物の設計・製作・施工に関する専門家です。
例えば、
・ デザイン提案
・ 意匠設計
・ 看板製作
・ 施工
・ メンテナンス
・ 撤去工事
などは看板業者の専門分野です。
豊富な経験をもとに、安全性や視認性、耐久性を考慮した看板づくりを行います。
行政書士が担う役割
一方、行政書士は行政手続きの専門家です。
例えば、
条例調査
自治体ごとの屋外広告物条例や景観条例を調査します。
設置可否の判断
条例や運用基準を確認し、設置できるかを事前に確認します。
行政への事前照会
判断が難しい案件について、行政へ事前相談を行います。
申請書類の作成
必要書類を作成し、行政へ提出します。
補正対応
行政からの質問や追加資料の依頼にも対応します。
更新管理
許可期限や登録期限を管理し、更新手続きをサポートします。
なぜ役割分担が重要なのか
企業にとって最も重要なのは、「適法に、スムーズに看板を設置すること」です。
そのためには、
看板業者→設計・施工
行政書士→行政手続き
という役割分担が最も効率的です。
| 業務内容 | 看板業者 | 行政書士 |
|---|---|---|
| 看板のデザイン・設計 | ○ | - |
| 看板の製作・施工 | ○ | - |
| 屋外広告物条例・景観条例の調査 | △(案件による) | ○ |
| 行政への事前照会 | △(案件による) | ○ |
| 官公署提出書類の作成 | 法令に従った対応が必要 | ○ |
| 屋外広告物許可申請の代理 | 法令に従った対応が必要 | ○ |
| 屋外広告業登録・更新 | 法令に従った対応が必要 | ○ |
それぞれが専門分野を担当することで、
・ 工事の手戻り防止
・ コンプライアンスの確保
・ オープンスケジュールの遵守
・ 行政との円滑な調整
につながります。
行政書士へ依頼するメリット
全国の条例に対応
自治体ごとに異なる条例を調査します。
行政との窓口を一本化
行政とのやり取りを代行します。
看板業者との連携
施工会社と連携しながらスムーズに申請を進めます。
企業の法令遵守をサポート
コンプライアンスを重視した適法な手続きを実現します。
よくある質問
Q. 看板業者へ申請もまとめて依頼できますか?
設計・製作・施工は看板業者の専門分野です。一方で、官公署へ提出する書類の作成や申請代理については、行政書士法との関係を踏まえ、適法な体制で進めることが重要です。
▶ 関連記事:看板業者・広告代理店が屋外広告物申請を代行していませんか?行政書士法上の注意点を行政書士が解説
Q. 行政書士へ依頼すると施工会社との調整もしてもらえますか?
はい。図面や仕様を確認しながら、看板業者様と連携して手続きを進めます。
Q. 全国対応していますか?
はい。全国の屋外広告物条例や景観条例に対応しています。
まとめ
屋外広告物申請は、看板業者だけで完結するものではなく、設計・施工と行政手続きを適切に役割分担することで、より安全かつ円滑に進めることができます。
実際に一部の自治体では、屋外広告物申請書類の案内ページにおいて、行政書士法違反に関する注意喚起を掲載しています。
例えば福井市では、屋外広告物申請書類一覧において、「行政書士でない方が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することは、法律に特段の定めがある場合を除き、行政書士法違反となりますので、ご注意ください。」との注意書きを掲載し、適法な申請手続きを呼び掛けています。
令和8年の行政書士法改正を踏まえ、企業には行政手続きを適法に進める体制づくりがこれまで以上に求められています。
行政書士・福井法務事務所では、
・ 屋外広告物条例・景観条例の調査
・ 設置可否の事前診断
・ 行政への事前照会
・ 屋外広告物許可申請
・ 屋外広告業登録
・ 更新・変更・届出手続き
まで全国対応でサポートしています。
看板業者様や広告代理店様との連携実績も豊富です。設計・施工は看板業者、行政手続きは行政書士という適切な役割分担により、企業のコンプライアンスとスムーズな店舗開発を支援いたします。
▶ 関連記事:屋外広告物申請は誰ができる?行政書士・看板会社・広告代理店の役割と業務範囲を徹底解説【令和8年行政書士法改正対応】
